阿蘇山の麓の山里で丁寧に醸される熊本県の地酒

通潤酒造は、九州という島の真ん中近くの山間にあります。山間ですが、昔から集落があり、1185年に起こった大きな合戦(壇ノ浦の戦い)の後、戦に破れた人たちが落ち延びた先という伝説も残っている歴史ある地域です。
近くには 蔵の名前と同じ「通潤」と名のついた 水道橋「通潤橋」があり ます。 これは1854年に造られたイタリア・ローマの水道橋にも似た石造りの水道橋です。

通潤橋

山間であることから平らな土地が狭いため、階段状に水田を作る「棚田」と呼ばれる景色が多く見られます。農業が盛んな地域であり、九州でも有数の有機栽培地域として知られています。そんな地域で酒米造りに手を挙げた農家が、熊本県のみで栽培される酒米「華錦(はなにしき)」を有機栽培し、くまもと酵母で醸されたのが今回ご紹介する「純米酒 さくや 2018」です。

山都町の棚田(提供:通潤酒造)

「さくや 」は2018年から醸造が始まった新しい銘柄です。そして醸造年度を明確に表示しています。ワインでは醸造年度を表示するのは普通のことです。しかし日本酒は、その年の米の出来の違いや酒を造るときの気候の違いなどを考慮して、醸造工程を調整し、年による味の違いを出来るだけ無くすことが良いことだとされていました。そのため醸造年度を明記する習慣がほとんどありません。「さくや」は、一定以上の品質は保ちつつも、各年度を比べる楽しみも備えた日本酒であると考えています。

酒蔵情報

名称通潤酒造
創業1770年(249年)
住所 熊本県上益城郡山都町浜町54
杜氏藤川 博久(熊本杜氏系)
URLhttp://www.tuzyun.com/

この酒蔵のお酒

純米酒 さくや 2018